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2008年11月13日

●夢日記、テリーマンとの対話

すっかり休養モードかと思いきや、怒濤の観劇三昧であったり謎の湿疹が発現したり猫が血便出したり友達の子供が可愛かったり見慣れぬものが届いたかと思ったらうちのチラシでびっくりだしおまけにタイトルがよくわからんくてこれはチラシとしてどうなんだろうと思わず苦言を呈してみたり悲喜交々、阿鼻叫喚の毎日であるが、今日も今日とてスカイフィッシュを30匹は食べるという自然破壊にも近い行為をかってでた34歳である。

専用ブラウザをSleipnir からとうとうGoogleに鞍替えしてしまった。その挙動たるや最高最速、昔F1に乗っていた頃を思い出して、赤飯を炊いた、3合。「何かお祝いですか?」と近所の亀仙人が尋ねてきたので、「ええ、これは国政選挙への未練を見事に断ち切ったあの知事へのせめてもの手向けですよ」とうそぶいておいた。「そうですか、それは良かった」と亀仙人は甲羅を3回叩くと爆発して消えた。ボム特有の自爆スキルだ。あれで何度もやられた。装備品以外はみんな持っていかれた、泣いた。

いや、正確には泣けずにいるのだ。キン肉マンのマスクの下は、さぞかし汗でふやけておるだろうと心配する程に、未だ泣けずにいるのだ。
そんな僕の体たらくを見てネプチューンマンは僕に囁く。
「Youが泣けないのはYouが完璧超人(ぱーふぇくとちょうじん)の素質があるからだYo」
軽く僕にラリアットを決める彼をいなして僕は言う。
「いや違う、僕が泣けないのはそれが何に対する涙なのか今の僕にはわからないからだ。だってそうだろう?過去とは既に失われた時であり、未来とはまだ見ぬ希望と絶望のシェイクだ。現実は常に移ろいゆくものであり、今この瞬間が既に過去となる。つまり僕達は、生きながらにして常に何かを損なった存在なんだ。見ろよこの僕の手を。どんどん砂がこぼれ落ちる。どれだけ固く握りしめてもするりするりと抜け落ちていく。仕方が無いことなんだ。彼女が僕達の前から突然消えたことだって、今の僕には既に過去の事であり、もうどうすることもできないんだ。あの時こうしておけばよかった、あの時こう言ってやればよかった。そんこと、もう無意味じゃないか。もちろん後悔はする。でもそれは、自分自身への慰めにすぎない。そもそもこんな事になるまで、僕は彼女と偶に会う程度の関係でしかなかったじゃないか。昔あれ程一緒にいたのに、今じゃ年に数回、会うか会わないかだ。今更僕にどうしろって言うんだ。いいか、もう彼女はいないんだ。その事をまず認識する所から始めなければいけないんだ」
「でも君は、彼女の為に泣きたいと思っている」
そうテリーマンが答えた。
彼はかわいい子犬を抱きしめている。
「その犬は、超人オリンピックで君が助けた犬だね」
僕がそう尋ねると、テリーマンはふっと頬を緩めて小さく頷いた。
「僕はこの犬を助けた事で超人オリンピックの決勝に残れなかった事に何の悔いもない。もちろん、ファイターとしては最悪だ。でも、結果、伝説になった、読者の間でね」
「それがどうした、自慢か」
僕はすかさず突っ込んだ。
オイオイ、とテリーマンはアメリカ人っぽいリアクションをすると、
「そう自慢だ。なにせ今年は29周年、まさにキン肉マンイヤーだからね。しかしそんな事はいい、もうこれ以上このネタを引っ張るのも疲れた。まったく、君は思考が混乱してくると、そうしてわざと関係のない事柄で話を破綻させようとする。君が本当に書きたいこと、残したい思いを、何故にそこまで隠蔽するのだ」
「正義超人の君にはわからないことだよ、それは」
僕は傘の先でドンドンと床を付いた。その時の僕は傘で人を殺そうとする変な人だ。
「馬鹿!いや、馬以下!」
テリーマンの攻撃→スピニング・トーホールド
「ぐはっ」
僕のマスクが剥がされた、なぜか。
「この両肩の☆マークは、ドロンパを意識していると知ってのことか!」
「知るか!」

そこで場面は突如変わる。

団地だ。何棟も何棟もあって、まるで竹の子の異常発生だ。
灰色の団地、薄暗い団地。
僕の中に眠る昔からのイメージ、死のイメージ。
本当はそれは団地ではなくて、病院だ。無機質な、人は誰もいない。
小さい頃、僕は幾度となく祖父の病室に連れて行かれた。祖父は膵臓ガンだった。当時の僕はそんな理由も知らずに、何度か祖父の元へ連れて行かれた。
その頃の記憶はほとんど残っていない。祖父の顔すら覚えていない。
ただ何となく、死期が近づいた人特有の気配というか何かしらの空気を子供心に感じ取っていたんだと思う。
その薄ぼけた病院での記憶と、当時住んでいた団地の風景が、僕の中で死のイメージとして作り上げられてしまったのだろう。

「考えろ、わからないなら考えろ、知らないなら知ろうとしろ、素人しろ、史郎と四郎、伊東四朗。お前の目玉はどこにある。失った人、去りゆく人、お前の両手からこぼれ落ちた全ての人達、残されたお前がするべきこと、生きろ、生きろ、しぶとく、粘り強く、足掻いて足掻いて、這いつくばってでも、齧り付いてでも、生きろ、生きろ、

生きろ。

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